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腰部椎間板ヘルニアの症状と、ヘルニアにならない為の注意点。

お尻から下肢(脚)に出るしびれ、激痛

日本人の多くの方々が悩む、腰に原因があると考えられている症状の代表格とも言える腰部椎間板ヘルニアは、腰にある下肢(脚)へと向かう神経を長時間刺激し続けることで臀部(お尻)や下肢にしびれのような感覚や激痛を出してしまう症状です。大半の場合、ラセーグ(ラセギュー)徴候と呼ばれる、お辞儀をするような前傾姿勢や、仰向けに寝た状態で足を上にあげようとすると臀部から下方向にしびれや激痛が現れます。ただし、骨盤部で起こっている場合には、このラセーグ徴候の方向性とは逆になることがあり、前傾姿勢の方が楽になります。椎間板ヘルニアはとても辛い症状のひとつではありますが、十分に予防をしてゆくことは可能な症状です。



椎間板(ついかんばん)が飛び出すこと

椎間板(ついかんばん)とは、背骨を構成している脊椎骨(せきついこつ)と脊椎骨との間にある軟骨様組織です。身近な言葉で表現すれば、背骨と背骨の間にあるクッション材のようなものと言った感じだと思います。

この椎間板という軟骨様組織が、上下の脊椎骨からの圧力でつぶされてしまい、木の年輪のような構造をしている椎間板の繊維リンを破り、椎間板内部の髄核(ずいかく)が後ろに押し出されてしまいます。この後ろに押し出されてしまった髄核が、背骨の後方を走行している脊椎神経に触れて刺激をすることで、その脊椎神経がつながっている臀部や下肢へと影響を及ぼしてしまうと言われています。その為、前傾姿勢になると、背骨のお腹側が狭まり、より後方へと押し出す力が働いてしまうことで症状がひどくなります。

この時しびれや痛みを出している部分は神経ではなく、神経がつながっている筋肉によるものと考えられます。


筋肉の動作不良

人間の筋肉には脳からの電気信号が送られています。その電気信号を収縮運動に変えて、筋肉を縮める動きが起こります。元々異なる骨と骨とをつないでいる組織である筋肉が収縮運動を行うことで、つながっている骨同士が引っ張られることで関節が曲がるという動作を行っています。

この時脳から出た筋肉への命令に対して、その命令を受けた軟部組織や関節内部の組織が脳へ、「さっき届いた命令通り、ちゃんと動いていますよ~。」とフィードバック信号を返します。これはあくまでも正常な状態の場合であり、例えばヘルニアによって神経組織が刺激を受けたままになっていると、脳から送られる命令が、神経刺激を受けている部分でおかしい信号として伝わってしまい、「おいおい、いつもと命令が違うんだけど、どうなってるの!?これで本当に大丈夫なの!?」という感じの命令をフィードバックしてしまいます。そうすると、脳から送られる命令と、軟部組織から送られるフィードバック信号との間に「動作命令の差」が生まれてしまい、どう動かして良いのかわからないような状態となり、筋痙攣が起こってしまうと言われています。その筋痙攣がしびれや痛みとして体に現れていると考えられています。

このしびれや痛みが起こっている時に別な強い刺激(例えば強くつねる、関係のない部位を強く押すなど)を与えると、脳の記憶が上書きされて、少しの間しびれや痛みが消えてゆきます。また、臀部(お尻)に強めの刺激を与え続けるとしびれや痛みが軽減することがわかっています。


原理を考えた時、予防に必要なのは姿勢を良くすること

先ほどお話ししましたが、腰部椎間板ヘルニアは、お腹側の脊椎骨と脊椎骨との隙間が狭くなることで後方へと押し出される力が働きます。この、上下の脊椎骨同士の間が狭くなる姿勢というのが俗に言う「猫背」と言われる姿勢です。猫背は背中を丸くしてしまう姿勢となりますが、この猫背の時に脊椎骨のお腹側が狭くなり、後方の背中側が広がるような構造になっています。

その他に、臀部(お尻)の筋肉や下肢(脚)の筋肉が運動不足などによって固くなり、柔軟性が損なわれてしまうと、体を動かそうと動作を行った時に他の部位を引っ張ってしまうことがあります。ギックリ腰などはこの臀部と下肢後方の筋肉の拘縮が門だとなって起こりますので、臀部、下肢は腰部と大きな関りがある部位となりますので、この臀部や下肢の筋肉に十分な柔軟性を保っておくことも予防の手段として重要です。

人間の体の中でも臀部は特に筋肉量の多い部位だと言われており、筋肉量が多い部位の筋肉が拘縮を起こしてしまうと、他の部位にも影響を及ぼしてしまう可能性があるということは十分に推測できると思います。


治療や施術に対する優先順位

ヘルニアにならないように予防をすることが一番大切なことではありますが、もし症状が起こってしまった時、重要となるのが治療や施術に対する優先順位を考えるということだと思います。

現在、椎間板ヘルニアは時間の経過とともに自然に治癒するということがわかっており、私が考える一番優先するべき方法は自然治癒だと思います。確かに症状にしばらく耐えることが必要であったり、コルセットなどを使用したり、普段の姿勢や休憩方法など、色々と制限される部分が最初はありますが、薬剤を使用することや手術をすることよりも、体の本来の形に近い状態で治癒が行えることが期待できますので、最優先事項と考えています。

その次には神経根ブロックと言われる俗称ブロック注射、その次に手術と考えています。ブロック注射や手術をすることが悪いということではありませんが、元々人間の体に存在しないはずの物質を注射したり、元々ある組織を取り除くことにあまり賛成できないというだけで、その手法に頼らなければならないことがあるのもまた事実です。

現在の椎間板ヘルニアの手術は、内視鏡などで行える為に、入院期間も最短で1泊2日や2泊3日で済む場合もあり、入院日数が少なく済むためにリハビリがほぼ必要なくなり、術後すぐに歩くこともできます。その為以前よりも手術に対する意識が変化し、手軽に行えるという感じが出てきました。が、先ほどお話ししました元々ある組織を取り除くことに変わりはありません。また、術後に再発した場合、それを繰り返している内に手術の内容がどんどん大掛かりになってきますので、歩行することが困難となり、生活がままならないという場合には手術を考えても良いとは思いますが、その辺はご自身の症状度合いを考えて頂き、専門家にご相談してみて下さい。



何事もそうですが、予防が一番大切

人間の体に起こる症状だけに限らず、どんなことにも言えると思いますが、そうならないように予防してゆくことがどんなことよりも一番大切なことだと思います。一度壊れてしまったものは、厳密な意味で言うと元通りに戻ることは100%ありません。また、機械を長年使用していると「経年劣化」と言われるように、人間の体も1秒ごとに年を重ねています。今この記事を読んで下さっているこの時よりも若くなることはありません。年齢を重ねれば重ねるほど組織や機能が弱まってしまうのは誰でも同じです。言い換えれば、痛みや不調が治りにくくもなります。だからこそ痛みや不調をなるべく出さないように予防して行く心掛けが重要となるのです。普段の生活に支障が出ない程度でできることがたくさんあります。ご自分の負担にならない程度で構いませんので姿勢やストレッチ、体操など、意識的に続けてみてはいかがでしょうか。